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天然皮革を製造加工する素材メーカー

皮革Q&A

皮革製品の品質に関するトラブルのうち、どのような内容のものが多いのでしょうか。

 革製品の品質トラブルの最大のものは染色堅ろう度に関するもので、次いで、強度に関するものです。これらのトラブルは、革の天然特性からくる製造・加工時の技術的限界及び動物の身体部位の不均一性などが原因となる場合が多くあります。
 染色堅ろう度にかかわる色落ち・染色・変退色・つやの変化などの原因は、革製造時の染色作業や塗装作業、靴やハンドバッグ製造などの仕上げ加工作業、クリーニングの仕上げ作業、消費者の手入れ方法などに問題が多くあります。
 強度や破損にかかわる原因は、革の鞣し時の原皮の選択、処方ミス、靴等革製品製造時の裁断、漉(す)き作業、縫製及び設計の失敗、クリーニングや消費者のアイロン処理や薬品付着による劣化が考えられます。
 染色堅ろう度、強度のトラブルに続いて、臭気、カビ、傷やしわの発生、毛羽切れ、風合い・形状変化、収縮、付属品の破損、かぶれの順に発生しています。
 製品別では、靴がもっとも多く、袋物・鞄、衣料、服装ベルト、手袋の順となっています。
 近年、撥水・防水、抗菌防臭、高染色堅ろう性、風合い改善、ウォッシャブル、ホルムアルデヒドフリー、ノンメタルなどの革製造技術が進歩し取り扱いが簡単なイージーケア革製品、耐クリニング性の高い製品、エコロジーを配慮した製品などが出現し、従来のような品質面のトラブル(クリーニングを含め)は大幅に減少しています。
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革製品で問題が生じたら、どこに相談したらよいのでしょう。

 まず相談の前に、取り扱いや保管、手入れ法などに間違いがなかったかを、購入時の品質表示ラベルや説明書にある注意、デメリット表示などを参考にしながら振り返ってみることが必要です。
 疑問や不満をそのままにせず購入店やクリーニング店などに相談してみましょう。良心的なお店ならきっと丁寧な説明や対応があるはずです。そこで納得が得られない場合は、国や地方自治体の消費者生活センターのようなところに相談することがよいでしょう。なお、弁償などを受ける際には領収書は重要な証拠文書となるので、必ず保管しておくべきです。
 また、生産者表示名があるなら、生産者へ直接か業界団体に問い合わせ、情報を得るのも良いでしょう。また、技術的な問題で、その原因を知りたい場合は、数は少ないが、皮革に関する公設試験研究機関を利用することもできます。
 以下に、業界団体と公設皮革試験研究機関の連絡先を掲げます。

<業界団体>
(社)日本タンナーズ協会(製革業の団体)
Tel:0792-82-6701 Fax:0792-82-6703
(社)日本皮革産業連合会 (靴、鞄・袋物、革衣料、服装ベルト、手袋など皮革関連業界の団体)
Tel:03-3847-1451 Fax:03-3847-1510

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革製品を使用中に色落ちし、他衣料などを汚すことがありますが、何故でしょうか。色汚染を防ぐことはできますか。

 色落ちの直接の要因は、革中の染料や顔料が他繊維素材や革に移行及び、汚染あるいは染色革の細かい繊維粉末の付着の2つが考えられます。前者は繊維などで見られる一般的な色落ちです。これは染料や顔料の革との結合が弱いために他の繊維などを汚染してしまう場合です。また、革製品同士あるいは他の繊維とを重ねて保管した時などに染料が移染する場合があります。後者はスエードやヌバックの起毛(バフィング)処理によって生じるバフ粉が最終まで残ってしまった場合です。
 高染色堅ろう性革を得ることは容易ではありません。なぜなら、革は耐熱性が低く、風合いを損なう高温染色ができないこと、皮の断面を染める高拡散性の酸性染料を使用するために汗や雨で溶出されやすいこと、さらに染色後に多量の加脂剤を加えるために革と染料との結合性が一層弱くなること、高pHを必要とする現状の反応性染料では革基質を損傷するため使用が限定されていることなどの多岐の理由によります。
 最近、堅ろう染色のための染料の選択方法、クロム革との結合性に優れたリン酸化染料の開発、硫化染料の利用方法などの研究が進み、染色に関する品質は一段と改善されてきています。
 一般に革の色落ちを防止するには、革製品を水や雨にぬらさないことがまず重要です。水による色落ちの防止策として、着用前に市販の防撥水スプレーの使用を薦めます。乾燥時の摩擦による色落ち防止策は、今のところよい方法がないので購入時によく確認しておくことが大切です。汗やクリーニングによる色落ちに対する積極的な対策として、裏地にアクリル、アセテート、ポリエステルを使用して皮革用染料に染まりにくくする方法もとれます。また、革製品と同色または同系色の靴下を使用すれば、汚染されても目立たない利点があります。なお、起毛革の色落ちについては、ブラッシングするか、クリーニング処理などによってバフ粉を除去できる場合もあります。
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革製品を屋内で保管あるいは陳列中に退色したり、変色したりすることがあります。直射日光に当たらなくても変退色するのでしょうか。防ぐことはできるのでしょうか。

 革製品の着色に使用されている染料は、日光中の紫外線により、染料分子が酸化・破壊されて退色します。日光による染料の退色度合いは、染料の耐光性の程度、紫外線量、紫外線波長、共存物質の影響を大きく受けます。退色は照射光強度と光量に比例します。室内では差し込む日光が少ないと油断していると、長時間照射されたり、窓際に近いほど、また、夏場ほど、退色は進みます。
 屋内照射や陳列用照明の蛍光灯により退色は生じます。蛍光灯の全放射エネルギー内、紫外線が約0.5%を占めるので、長時間、至近距離で、一方向から照射されると、革製品は、退色し、色褪せは目立つようになります。また、至近距離での白色灯による照明は、革表面の温度を上昇し、退色反応を促進します。また、可視光の短波長側(400〜500nm)の青色の光には漂白作用があるので、注意が必要です。
 革製品の光退色は、仕上げ方法をはじめ、共存物質(革タンパク質、加脂剤、なめし剤、再なめし剤など)により大きく影響を受けます。
  1. 一般に顔料は染料に比べて耐光性が強く、顔料による塗装仕上げ革は、素上げ革より耐光性がよく、
  2. 光退色は染料濃度に影響を受け、染料量が多い方が少ない時よりも変退色は少ない。
  3. 酸化されやすい加脂剤(不飽和油など)が共存すると、連鎖反応により染料も酸化されます。
  4. 光に不安定ななめし剤(植物タンニン、再なめし剤)が共存すると、革の変退色は大きくなります。 

室内または陳列中の革製品の後退色を軽減するには、

  1. 耐光性のある染料を選択する、
  2. 顔料仕上げを施す、
  3. 染料使用量を多くする、
  4. 紫外線量と発熱量の少ない照明灯を選択する、
  5. 照明光量を少なくする、
  6. 照明の距離を離す、
  7. 後退色防止剤を添加することなどが考えられます。

後退色防止剤については、塗装仕上げ革への適応は可能であり、大別して、紫外線吸収剤や退色連鎖反応を止める酸化防止剤の2種類があります。

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革製品を重ね置きやポリビニル袋などに入れて長時間保管したりすると、一方の色が移ったりすることがありますが、なぜでしょうか。防ぐ方法はありますか。

 革製品と他製品(革製品同士もある)を重ねて長時間に渡って密着し保管することは好ましくありません。なぜなら、一方の製品に使われている素材に含まれている物質の結合力が弱い場合、その物質が移行し、他方の素材を汚染するからです。移行(移染)する条件として、環境の湿度、温度、圧力が重要なファクターとなります。特に、革中の水分が移動する時、移行物質が一緒に動きます。移行物質として、主なものは染料で、油剤、可塑剤、安定剤などの場合もあります。そのほか、プラスチック製品に原因がある場合、紫外線吸収剤、帯電防止剤、難燃剤などが移行して淡色の革を汚染することもあります。
 革製品が直接の原因である場合の多くは、スエード、ベロア、ヌバック、素上げ調銀付き革が問題になり、特に、塩基性染料や金属錯体染料で染めたものは、生ごむ、ポリ塩化ビニル、スチレンーイソプレン共重合体などの組成を持つ靴底材、椅子材、衣料複合材を汚染することがあります。また、色違いで組み合わせた素上げ調銀付き革衣料を折りたたみ保管中に濃い色の部位が薄い色の部位に移行したり、色違いの革製品同士を重ね置きしたときに一歩の製品の色が移ってしまう事例がよく見られます。
 革製品同士や異素材製品との間の密着保管をやむを得ず行う場合は、製品間、異色革間、異素材間に柔らかい白紙や白綿布などを入れることが良いでしょう。
 移染の程度を事前に簡単にチェックするには、異色の革同士を重ね、一定荷重を掛けるため机の足などにかませたまま一晩放置し、色の移りを観察する方法が業界ではよく行われます。正式にはIUF442(ポリ塩化ビニルへの汚染に対する革の染色堅ろう度)に準じて行います。すなわち、指定されたポリ塩化ビニルの代わりに、問題になりそうな素材同士をかさね、JISL0848(汗に対する染色堅ろう度)の汗試験機を利用し、50℃、16時間、一定荷重下に置き移染状況を汚染用グレースケールで判定します。
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自然感覚を強調した素上げ、あるいはアニリン革の製品をクリーナーで拭いたり、防水スプレーをかけたりすると、色が濃くなったり、シミになったりすることがあります。防ぐことはできますか。

 手入れ剤は、形状(霧状、泡沫状、液状、ペースト状、半固形状)、用途(保革用、汚れ落とし用、つや出し用、防・撥水用など)、製品用途(衣料用、靴用など)、革用途(銀付き革用、起毛革用など)、などによって分類され、多種類が市販されています。 
 素上げ革は、革本来の美しさを生かすことに重点を置いており、塗装仕上げを行わないので、クリーナー中に含まれる水や有機溶剤は革中に浸透しやすく、革の染料を溶出してシミになることがあります。アニリン革はタンパク質系の薄い塗装仕上げがされているので、手入れ剤はマイルドで、中性タイプが適します。アルカリ性の手入れ剤を用いれば、表面の仕上げは侵されて、シミになったり、色落ちしたりする場合もあります。一方、手入れ剤中の油分やワックスが部分的にしみ込み、濃色に見えることがあります。素上げ革やアニリン革に限らずどのような革でも、手入れ剤は使用前に必ず目立たないところで一度確かめてから使用することが肝要です。
 防・撥水スプレーによりシミになった事例があります。シミの原因は、スプレーする距離が近すぎて、吹き付け部に過剰に防・撥水剤がしみ込んだためと考えられます。このようなトラブルを防ぐには、スプレーを均一に薄くするとともに、スプレー剤の取り扱い表示にアニリン革不可、○○cm離してスプレーすると明記すれば、実際に使用すると人はそれに従って作業をするでしょう。
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エナメル革製品のツヤが少し消えてきました。なぜでしょう。防ぐことはできますか。

 エナメル塗膜のツヤが消える原因は、エナメル塗膜の表面と内部の変化に大別されます。
 エナメル塗膜の表面の変化は、1)太陽、蛍光灯などの光や熱による劣化、2)使用過程での細かいシワ及び擦り傷の発生、3)手あか、汗など各種生活汚染物質の付着などが挙げられます。
  1. の光や熱による劣化現象は、人の皮膚の老化現象と類似しています。エナメル塗膜はポリウレタン塗料で形成されていますが光や熱はウレタン結合を破壊する作用があります。特に光の中の紫外線は破壊が強く、ポリウレタン塗膜の劣化を促進し、エナメル塗膜から少しずつツヤを失わせます。
  2. の細かいシワや擦り傷の発生は、エナメル塗膜表面に細かい凹凸が分布することになり、光が乱反射し、人の目にはツヤがないように見えます。
  3. の手あか、汗など各種生活汚染物質の付着は、これらの物質が油膜となってエナメル表面を覆い、細かい擦り傷に入り込み、エナメル特有の光沢を低下させます。

 次にエナメル塗膜内部の変化は、本来革素材中に安定して存在するはずの動物油や下塗り塗料中の各種ワックス類がエナメル塗膜中に少しずつ移行することにより起きます。この結果、エナメル塗膜に不純物が入り込む状態となり、光沢が低下します。これはエナメル革製品の使用環境や保管環境により発生します。
 防止対策は使用時の丁寧な取り扱い、柔らかい紙や布での包装、シューキーパーによる型くずれの防止などであり、擦り傷やシワの発生はある程度防ぐ事が出来ます。又、手あか、汗など各種生活汚染物質が付着した場合は、薄めた中性洗剤をつけた柔らかい布でふき取るとよい。革素材やエナメル塗膜は不変でなく、これらの劣化現象は寿命と理解する必要があります。

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取り扱いによっては淡色系のタンニン革の一部が黒色化したり、ベージュ系の革張り家具や革衣料が部分的にピンク色に変わったりすることがありますが、なぜ変色するのでしょう。

 一般に、変色は革の構成物質が化学変化する場合と構成物質が移行や拡散する場合が考えられます。 タンニン革の黒色化は、最もよくある事例です。これは何らかの外的要因、例えば、金具との接触など、鉄イオンとタンニンが反応して、タンニン鉄を形成するためです。タンニン鉄は、最初は暗紫青色から時間経過するに従って青黒色となっていきます。最近、タンニン革は環境調和型なめし革として広範囲な用途に使われるようになってきていますので製品購入時はタンニン革かどうかの確認をすることが良いでしょう。
 タンニン革が黒色化したといってすべてが鉄イオンとタンニンの反応ではありません。金属と硫化物との反応も考えられます。金属としては、革に使用されている黄色顔料、あるいはパールやメタリック色材中の金属(特に、銀)、また、使用金具などがあります。硫化物としては、大気中の硫化水素ガス、あるいは革中の硫化物、また製品に使われているゴム加硫促進剤中の硫化物等が考えられます。黒色化されるものとして、革自身、製品に使われている副資材(金属付属品、金属ボタン、ラメ糸、金属糸など)があります。
 次に、ベージュ系の革張り椅子や革衣料がピンク色になった事例がありますが、このような場合、多くは皮の塗膜中に黄色顔料の使用が確認されます。誤って塩酸あるいは塩素系クリーナー(トイレ用など)を使用すると、塗膜中の顔料にクロム酸鉛系(日本では生産されていない)、あるいはマンガン系が含まれていると塩素と化学反応をし、ピンクに変色することがあります。また、ベージュ系の染色物は、多くは三原色(赤、黄、青)から構成されているので、その1つか2つの色が、何らかの外的影響(手入れ剤以外に光、酸性雨、排気ガスなどの場合もある)を受けると、例えば、ピンクになったり、緑になったりもします。あるいは、塗膜に溶剤が作用し、塗膜中の染顔料の一部(赤、黄、青のいずれか)が移行・拡散し、ピンクに変色したりする事例もあります。
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革製品を使用中に塗膜が割れたり、はく離したりすることがありますが、なぜでしょうか。防ぐことはできますか。

 塗膜の割れとはく離は同時に生じる場合と別個に生じる場合があります。塗料液の選択と配合が不適正の場合に塗膜が硬くなり、塗膜の割れを生じやすくなります。また、革表面の塗膜は積層膜なので、どの層までわれているかが問題となります。はく離についても、塗膜の最下層(革の表面)ではく離する場合とラッカー膜のはく離では原因が異なります。
 塗膜の割れは、
  1. 使用中の靴の甲部付近、
  2. ハンドバッグの折り曲げ部分及び平面部分、
  3. 革衣料の延伸部分などがあります。
  4. 更に常温使用時における割れと低温使用時における割れがあります。

 靴の甲部では着用時の温度に対応した耐屈曲性、耐衝撃性が必要とされます。塗膜の割れは革表面に形成した塗膜の伸び(革の伸びと対応する)、耐屈曲性、外部からのショックなどにより塗膜の柔軟性が対応できなくなり、破壊ゆがみを生じます。-5〜-20℃のような低温屈曲(屈折)の場合にはっきりと症状が現れます。塗膜の主要形成物である天然及び合成高分子は性質が変化する温度域を持っています(ガラス転移温度)。この温度が低い場合は室温で柔軟性を有し、高い場合は温室で硬い性質を示します。革の仕上げでは、造膜性物質中に顔料や染料の着色剤、カゼイン、ワックス、オイルなどの添加物を配合し、水で薄めた水性塗料として塗布する。次に、溶剤で溶解・稀釈したラッカーを塗布する。したがって、仕上げ塗膜は積層膜となります。
 一般的には、積層塗膜の表面(ラッカー膜)から割れを生じ、下層膜は進行すると言われています。ラッカーは適度の柔軟性を有するよう可塑剤を含有します。この可塑剤が少なくなると割れやすくなります。防止策として、クリーム、保革油などを塗膜に適度に与え、手入れすることが効果的です。はく離を防ぐには、塗膜の最下層では革表面に対応した仕上げ剤の選択と配合に注意し、革との接着性を考慮して適度な柔軟性をもつようにすることが必要です。

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バッグやベルトの表面がべたべたして困ります。塗膜の粘着はなぜ生じるのでしょうか。修復法はないでしょうか。

 革製品になってからの塗膜の粘着性に関する事例として革張り家具、バッグの手持ち部分、ベルトなどが見られます。しかし、これらすべての革の塗膜に粘着性が生じることはありません。例えば、過去に革張り家具や合成皮革張り家具にべとつきが見られましたがそれぞれの企業が使用原料の改善を図り、上記の問題が生じないものを開発しました。
 天然皮革の仕上げにおきましてもポリウレタン系仕上げ剤が、塗膜強度の向上のために家具用革の仕上げに多く使用されるようになってきています。
 下〜中塗りに水性ポリウレタン系仕上げ剤を、上塗りにニトロセルロース系ラッカーを塗布する場合、一定の組成のポリウレタン系仕上げ剤のときに粘着性が生じる傾向が見られます。また、水性ポリウレタン配合液中の軟化剤、ニトロセルロース系ラッカー中の可塑剤、オイルなどの添加物の移行も関係しています。さらに、ポリ塩化ビニル系の合成皮革との接触による可塑剤の移行で粘着性が生じる場合もありました。
 修復する方法として、過去にシンナーなどの溶剤により塗膜表面の粘着物を再溶解して塗膜の下層へ移動させる方法がありましたが、決定的ではありません。
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豚革や羊革製のスエード衣料を愛用していますが、中に来ているプラウスに毛羽や革粉が付いたり、毛羽がとれて「てかてか」したり。革にぼそっと穴があいたりすることがあります。これはなぜでしょう。寿命なのでしょうか。それぞれ修復できないでしょうか。

 皮の内面をサンドペーパーで起毛し、毛羽立たせた革をスエードといいます。床革を使ったものは床スエードといいます。スエードは柔らかく、ビロード状で、ぬくもりのある独特の手触りに人気があり、靴甲、衣料、手袋などに広く使われています。
 ブラウスの汚染については、原因の一つとして染料の落ちが考えられます。スエードには表面の仕上げができていないため表面から染料が落ちやすく、また、起毛工程(バフィング)により生じた繊維くずの残りも原因の一つになります。購入前に、簡単に色落ちしないかどうか確認することが重要です。
 次に、着用時の摩擦で繊維が切れ脱落する、いわゆる毛羽切れの場合もあります。革を柔らかくしようとして、製革工程で過度の化学的作用あるいは物理的作用を施した場合、革の組織構造が弱くなり、長期の摩擦で毛羽切れを起こすことがあります。また、極端に薄く革を漉(す)いたときも毛羽切れが起きやすい。軽く毛羽を引っ張ったときに簡単に毛羽が切れるような製品は購入を控えた方が良いでしょう。
 長い年月使い込んだスエードの毛羽を再び起毛させることは困難ですが、汚れなどで一時的に毛羽が寝てしまった場合には、汚れを除去し、真鍮(しんちゅう)ブラシなどでブラッシングすれば起毛させることができます。
 床ベロアを使った製品で、革が薄すぎたり、繊維組織の粗い部分を使用したときなど、製品にぼそっと穴があくことがあります。床ベロアの製品を購入するときには、やや厚めで、繊維組織が緻密なものを選ぶようにすればよいでしょう。また、安価な製品には、裏側に他の革を接着して穴を補っているものもあるので、あまり低価格の製品には注意を要します。
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革製品にカビが生えてしまいました。カビの取り方はどうすればよいのでしょう。防カビ対策はあるのでしょうか。除湿剤は防カビ対策に効果があるのでしょうか。

 まず、カビを抑えるには、
  1. 乾燥状態にしてカビに水分を与えない。
  2. 低温にしてカビの生育を抑える。
  3. 汚れを除き、栄養源を与えない。

 実際に革製品にカビが生えてしまった場合、完全にカビを取り去ることはできないが、若干のカビなら、水にぬらした後かたく絞った布きれや食パンで擦って取れることがあります。溶剤や漂白剤の使用は避けて下さい。さらに、ふいた後は陰干ししてから、使用しましょう。一度カビに侵された革は常時見えるところに置き、できるだけ使うことが最良の防カビ対策でもあります。
 最近の住まいは密閉構造の上、台所と今などがオープンとなっているので高温多湿になりやすく、カビにとっては絶好の繁殖条件となります。革製品の保管は、できるだけ乾燥した部屋を選び、革衣料のような製品は折り畳んだりしないよう、大き目のハンガーなどに掛け、ゆったりと保管することが良いでしょう。また、通気性のある紙や不織布などで簡単に包装することを薦めます。製品によってはビニル袋に包んで保管することがありますがその場合は袋を密閉し、市販の除湿剤を入れる。除湿剤は吸湿容量が小さいが潮解[(ちょうかい)固体が空気中から湿気を吸収し、溶けて溶液になる現象]しないシリカゲル系除湿剤がよい。なお、こまめに除湿剤を交換しなければ、除湿効果は得られない。除湿剤を交換せず放置しておくと吸湿能力が低下し、ビニル袋表面に水滴が結露し、その水を革が吸収してカビが生えることがあるので注意しなければなりません。塩化カルシウム系除湿剤溶液が革に付着すると、革を変性させ、再生不能にすることがあります。
 シーズンが終わったら、できるだけ早く革から水分を除去しなければなりません。梅雨や台風時はカビにとっては好環境です。夏、湿度の高い日本には昔から虫干しの週間がありましたが、革製品にとっても年に数回は晴れた湿度の低い日を選び、陰干しをし、革の水分をとるとよいでしょう。

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革製品に白い粉、あるいは白いカビ状のものが吹き出してくることがありますがなぜでしょうか。どうすれば防ぐことができるでしょうか。


 白い粉、または、カビ状のものを総称してスピューと呼んでいます。スピューの主成分は塩または脂肪です。両者の区別は、水ぶきして消えるのが塩スピュー(ソルトスピュー)で、消えないのが脂肪スピュー(ファットスピュー)、また、熱で融けず、石油やシンナーなどの有機溶剤を浸した脱脂綿などをふいても消えないのが塩スピューで、消えるのが脂肪スピューです。
 塩スピューは、靴に発生することが多く、靴が雨などにぬれると、浸透した水分が蒸発するとき革中に存在する塩を表面に運び、乾燥後、白い粉が析出[(せきしゅつ)化合物を分析して、ある物質を取り出すこと]します。塩の由来は製革工程中で使用されたものが多く、発汗による塩分もあります。この白い粉状のスピューは、水で容易に除くことができるが、革中に塩が存在すると再び発生して完全に防ぐことは困難です。対処法として革に防水性を付与して水の浸透を防ぐこと、浸透した水は早めに除去すること、靴の内側にシリカゲルのような除湿剤や新聞紙を入れて陰干しするなどの工夫が必要です。乾燥できたら、撥水剤や靴墨を塗って手入れをすることが肝心です。
 脂肪スピューは衣料革に発生することが多い。固形パラフィン、固形シリコンや高級脂肪酸など高融点の脂肪を含有する加脂剤を使用したり、動物の体脂肪の除去が不十分な場合に発生しやすい。発生原因としては、塩スピューと同様に高い湿度で吸着した水分がキャリヤーとして働くものと考えられます。革中に室温で固体の遊離脂肪分が存在し、湿度や温度の変化が大きいほど脂肪スピューは発生しやすくなります。
 脂肪スピューも完全に防ぐことは困難で、対処方法として、ドライクリーニングによって、遊離脂肪成分を除くこと、低融点の油剤を添加して固形脂肪分を溶解することによって軽減される場合もあります。
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バッグ、ベルトなどの金具の色が変わったり、錆びたりすることがありますが、なぜですか。革に原因があるのでしょうか。


 金属の腐食とは自然界で行われる物質の化学的・電気化学的な破壊現象で、空気中の酸素、水、電解質、腐食性ガスなどの環境条件が関与します。水あるいは電解質水溶液に金属が接触するとき、電極で金属が溶解する場合は液相腐食(湿食)といい、腐食生成物を錆びといいます。高温や腐食性ガス雰囲気環境で酸化物、硫化物などにより、金属表面が変質層(スケール)で覆われる場合は気相腐食(乾食)といいます。
 革製品の金具の変色や錆びの原因物質として、
  1. 製革工程で使用した塩類が金具と反応する場合。特に塩素イオンが多量に溶出する革は、金属腐食を起こしやすい。
  2. 製革工程で使用した酸類が中和不足により残留している場合。
  3. 製革工程中に還元剤・中和剤として使用したイオウ化合物、特にチオ硫酸ナトリウムが残留している革は、無メッキの金具(真ちゅうなど)と反応して黒色の硫化物を生成する、などのケースがあります。

 金具の防食及び装飾のためにメッキがよく行われるが、メッキの技術、精密さ、厚さなどによって腐食の起こりやすさが大きく変わります。クロムメッキは極めて安定な青みがかった白色光沢を有し、装飾用に広く用いられる。メッキ層の厚さは約0.3〜0.5μmで、薄く多孔性になるので、下地にNi、Cuなどの耐食性メッキを施すが、塩水などが浸入すると局所腐食を起こしやすい。ニッケルメッキは銅、真ちう、Zu、Al合金などの装飾用にメッキされるが、耐食性はよくありません。
 金具変色に対する革素材の簡単な試験として、化学研摩した銅板を革と高温で密着したときの銅板の腐食や変色の様子を調べるとある程度予想ができます。金具の耐腐食性試験には、品質評価試験のフェロキシル試験や腐食促進試験として塩水噴霧試験などがあります。革製品の金具に対するフェロキシル試験の基準例は、ニッケル、ニッケルクロム、クロムメッキを施した面にフェロキシル試験を5分間行ったとき、1cm2の試験片にはん点が10点以下と定めています。

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革製品の一部に臭いの強いものがあります。その原因は何でしょうか、家庭でできる臭いを消す方法を教えて下さい。


 革の主成分であるコラーゲンタンパク質は無臭であるが、種々の工程を経ることによって様々な臭い成分が付着します。製革工程で臭いの原因と考えられるものを挙げると次のようになります。

原料皮 皮や付着物の腐敗、防腐剤
準備 工程 脱毛剤、脱毛処理生成物
なめし工程 なめし剤(タンニン、タンニン浴成分の腐敗生成物、アルデヒド類、合成鞣し剤)、加脂剤(魚油、油の酸化生成物)、防腐剤、染色助剤
仕上げ工程 仕上げ剤、浴剤
製品、加工
接着剤、カビ、着用中の異物の付着や移臭

 これらの原因物質がいつも製品革にまで残るものではないが、扱いが不適切であったり、特殊な製革法を用いた場合に臭気が残ることがあります。臭いの成分が複合したり、個人差もあるので悪臭の原因を明らかにすることは困難です。消臭剤や防臭剤などには明確な区別はありませんが、大まかには次のように分類されます。

消臭剤
酸化・還元・中和・縮合・付加反応のような化学反応や微生物などの生物作用で臭気物質を別の低臭気物質に変換して臭気を消すもの
脱臭剤 活性炭、シリカゲルやゼオライトのような多孔性物質により、臭気物質を物理的に吸収、吸着及び分解などによって除くもの
防臭剤 抗菌剤などの物質を添加して、臭気の発生や発散を防ぐもの
芳香剤 香料、植物精油のような芳香性の物質を添加して、マスキング、中和の効果で臭気を軽減するもの

 最近は多孔性物質に消臭効果をもつ物質を持ったものや、精油には抗菌効果があるものもあり、上記の分類が重複する場合もあります。
 臭気の強い革は通気の良い場所に放置しておくと臭気が低下することがあります。脱臭剤、芳香剤などが数多く市販されており家庭での使用が可能です。皮革表面の塗膜を劣化させないものや変退色を生じないものを選ぶ必要があります。
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革衣料やバッグを雨の日に使用したところ、風合いが損なわれ、革が硬くなり、型くずれしてしまいました。雨の日に革製品を使用してはいけないのでしょうか。また、修復は可能でしょうか。


 雨の日に革衣料や高級バッグを使用することは出来るだけ避けた方が良いでしょう。
 革衣料や高級バッグには感性に訴える上品な雰囲気、換言すれば高級感が求められています。したがって、使用する素材はなめらかで適度の弾力性のある感触のよい革が要求されます。さらに、色・つやがぼけず、ごわごわしたりせず、摩擦にも強い革が良いとされます。革の堅ろう性を保つにはそれなりの塗装を施すことが必要ですが、その分なめらかで適度の弾力性のある感触・風合いは損なわれます。感触のよさと堅ろう性は相反するものであり、両者を満足させることは困難です。革らしさを最も強調した革(高額の商品が多い)は、素上げや薄い塗装し上げを施したものが多く、その表面は塗装膜に十分覆われていませんので、そのため水にはどうしても弱くなります。
 濡れた革は水分により膨らみますが、水分が蒸発して乾燥すると収縮が起こり、繊維間の摩擦が大きくなって潤滑性が失われ、硬化し、風合いが損なわれます。これは織物(布)を洗濯し乾燥させたものがごわごわするのと同じですが革の繊維構造の緻密さは織物の比ではないので、その変化も大きいものがあります。また、革は部位による繊維構造の差があるため、収縮の度合いも部位により異なり、その結果型くずれが生じます。
 風合いが損なわれたり、型くずれしたものの修復は、その程度にもよりますが、一般的にかなり困難です。湿らせて内側から当て物などをして時間をかけて型くずれを直す方法もあるにはありますが、それを仕事として引き受ける業者は多くありません。最近テレビなどでどんなに使い古した鞄でも修復するという店が紹介されていましたが、熟練した技能者が少なくなった今日、修復の程度や費用などは個々に当たるより方法はないと考えられます。

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雨によって革製品の塗膜にシミができたり、水濡れ(ウオータースポット)が生じたりすることがありますが、なぜでしょうか。

 革製品の塗膜の水によるシミや水膨れは、主として塗膜の耐水性に大きく影響され、革らしさを強調した高級革製品に多く発生します。
 革製品の仕上げでは塗膜が革表面に施されていますが、その塗膜を仕上げ剤の種類により分類すると、
  1. カゼイン仕上げ、
  2. 水性ポリマー(バインダー)仕上げ、
  3. 硝化綿(ラッカー)仕上げ、
  4. ポリウレタン仕上げ、
  5. 水性ポリウレタン仕上げとなります。

 カゼイン仕上げは、天然感覚を強調するため、塗膜の透明感を出し、銀面模様の特徴を生かす方法であり、カゼイン(牛乳中に約3%含まれる)が使用されます。カゼインは親水性が強いので、ホルムアルデヒドなどで固定し皮膜を膨張し、革と塗膜との間にく空隙ができて浮き上がり、水膨れを生じます。また、革に水が浸透すると、革中の染料を移行させ、染料シミを発生させる場合もあります。この場合は、染料の固定不足が原因であり、染色堅ろう度の悪い革に起きやすい現象です。
 カゼイン系以外の合成樹脂系の仕上げ剤でも、水によるシミや水膨れが起きます。塗膜形成が不十分な場合、塗膜自体を膨張させたり、水が塗膜のすき間から浸透して革から塗膜を浮かせることによって、乾燥後もシミとなって残ることがあります。また、下地の革に植物タンニンや界面活性剤を使いすぎると、水の浸透により革が膨張して、塗膜を浮き上がらせることもあります。
 耐水性の高い合成樹脂仕上げをすれば、このような事故は防ぐことはできますが、革らしさは減少します。ヨーロッパなどの革製品は、革本来の風合い、外観、感触を最優先にするため、このような水膨れを防止する仕上げを施していない場合もあります。水膨れ防止対策として、革の感触に悪影響を与えないように、革表面に撥水性を付与するためスプレータイプの撥水剤を使用するのも良いでしょう。

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無着色のヌメ革(タンニン鞣し革)製品を使用しているうちに飴色や茶色に変色してきました。また、爪などが当たったり擦ったりすると傷がついたりその部分だけ変色したりしますがなぜでしょうか。

 ヌメ革が次第に飴色に変わっていくのは、
  1. ヌメ革は植物タンニンで鞣されています。クロム鞣しされた革に比べて柔軟性が劣るため、その補助として油脂を多く含ませています。このタンニンや油脂が日光、汚れ、大気中のガス、人の汗、水などにより酸化されて飴色に変化してきます。また、人間の皮膚と違い革には生体の時のような新陳代謝がありませんから、次第に濃い色に変化して元にもどることはありません。
     この飴色に変化していくことが、このヌメ革製品を大事に使い込まれていったとき、革らしい自然の風合いと暖かさを醸しだしていくのです。これがヌメ革の味わい深さといえるでしょう。
  2. 一般の革は色落ちやシミを防ぐために表面をラッカーやウレタン樹脂などでコートされていますが、ヌメ革は天然革本来の味を大切にするために、ほとんどコートされていません(一部には薄くコートしたものもあります)。このため、シミになりやすく、汚れも革内部に浸透しやすいためになかなか取れにくく、耐水性も弱いのが特徴です。したがって、ヌメ革製品は、使用前にあらかじめ防汚性、防水性のスプレーを塗布してくことが良いでしょう。
  3. 植物タンニンの特徴はタンパク質への結合能が大きく、タンパク質を凝固、固定する能力が強いためタンニン鞣しの革は一般的に硬く、表面に爪などで擦るとその摩擦によって上記のタンニンや油脂の酸化等を促進し色が変わりこれが傷の様に見えます。溝のように深いものでなければ時間の経過により目立たなくなります。
  4. ヌメ革等タンニン鞣しの革は、老化が進むとひび割れが起こる場合があります。一般的にソフトなヌメ革より硬めのヌメ革(底革や学生カバンに多いタイプ)に多く、使用しないで大事にしまったままにしておくと、ひび割れを起こすものがあります。時々使用して、汚れを取り、専用の手入れ剤をしておけば、ひび割れは余り心配する必要はありません。

 ヌメ革は、デリケートな素材です。水分に弱く、水分で硬くなりやすいので、日頃からタンニン鞣し革専用のクリーム等で、防水、防汚を心がけ、雨の日の使用はなるべく避けたほうが良いでしょう。

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