■ 仕上げによる革の分類



 革は、原料皮、鞣し、仕上げ、用途などによって分類され、それぞれ複雑に入り組んだ用いられ方をするので、ここでは代表的なものについて、革の製造方法と仕上がり状態に、用途を組み合わせて説明します。

  1. 銀付き革
     動物皮の本来の銀面模様を生かして仕上げた革で、代表的なものにボックスカーフがあります。これは、子牛革をクロム鞣し・染色後、主にタンパク質系バインダーでボックス仕上げした革です。柔軟で、光沢があり、高級な靴、ハンドバッグ、ベルトなどに使用されます。成牛皮を原料としたアニリン仕上げ革などもあり、用途は広く、靴用革、ハンドバッグ、かばん、家具などに使用されます。

  2. 銀磨り仕上げ革
     仕上げ前に、銀面をサンドペーパー等でバフイングして塗装仕上げした革で、銀面が削られているので、表面に革本来の毛穴模様がありません。型押しで毛穴模様(毛シボ)を付けた革もあります。ガラス張り革は、銀磨り仕上げの代表的な革です。

  3. ガラス張り革
     クロム革製造において、乾燥の工程でガラス張り乾燥後、銀面をバフイングし、塗装仕上げした革で、原料は主に成牛皮です。表面が均一であるため、裁断歩留まりは良いが、やや硬い革になりやすい。靴甲革、かばんなどに使用されます。

  4. 型押し革
     植物タンニンなめし革、またはクロムとタンニンの複合鞣し革の、銀面または塗装仕上面をプレスで加熱、加圧し、種々の型を押し付けたもの、ハンドバッグ、かばんなどに用いられる。

  5. 床革
     皮を2層以上に分割して得られた、銀面を持たない床皮を原料とした革です。表面を厚く塗装したり、銀面の様にプラスチックシートを積層して靴用革などとして利用されます。また、ベロアの様に仕上げたものを床ベロアといいます。靴甲革、衣料、作業用手袋革などに使用されます。

  6. シュリンク革
     鞣し工程で薬品によって、革の表面にシワをよせたものです。型押し加工を組み合わせたものもあります。

  7. スエード革
     革の内面をバフし、ベルベット状のケバを持つように起毛させ仕上げた革で、主に子牛革など小動物よりつくられます。シルキースエードは、特に高級品です。
     成牛革のように繊維組織が粗い革をスエード調に仕上げた、ケバのやや長いものをベロアと呼んでいます。靴甲革、ハンドバッグ、衣料などに用いられます。

  8. バックスキン
     銀面を除去し、ケバ立てた革です。次ぎのヌバックはこれに由来し、スエードとも混用されます。極めて柔軟で、スエードと同様の用途に使われます。

  9. ヌバック
     スエード異なり、銀面をバフしてケバ立てて仕上げた革で、スエードに比較するとケバが非常に短く、ビロード状を呈しています。高級品は子牛皮を原料とするが、成牛皮やその他の動物皮からもつくられます。靴甲革、袋物、衣料などに用いられます。

  10. エナメル革
     パテントレザーともいわれる。本来、革の銀面にボイルアマニ油またはニスの塗布、乾燥を繰り返し、光沢のある強い被膜をつくって仕上げられていたが、現在は、ウレタンなどの耐摩耗性で、光沢のある合成樹脂仕上げ剤が用いられている。礼装用紳士靴、婦人靴、ハンドバッグなどに用いられます。

  11. 植物タンニン革
     植物タンニン鞣し革には、底革、中底革やぬめ革などがある。底革は、成牛皮を植物タンニンで鞣した厚くて堅ろうな革靴の底に用いられ、中底革は成牛皮の腹部や肩部でつくられる。ぬめ革は、底革より薄くて軟らかく、成牛皮、豚皮などを原料とし、かばん、袋物、ベルト、ろうけつ染、革工芸に用いられる。これら以外に多脂革、馬具用、ベルト革などがあり、植物タンニン鞣しの特徴を生かした用途にもちいられているが、これらの生産量は減少しています。

  12. 毛皮
     毛をつけたまま鞣して仕上げた皮です。毛皮の鞣しは、毛皮の種類、用途などに応じてアルミニウム鞣し、クロム鞣し、アルデヒド鞣しなどが行われる。防寒用、装飾用などに利用され、コート、ストール、ボア、帽子、スリッパ、敷物などに用いられます。
     高級品はミンク、セーブルなどを、大衆品はウサギや羊などを原料としています。毛皮用動物の種類は非常に多く、ほとんどが哺乳動物で食肉目です。陸生ではミンク、テン、キツネ、ウサギ、ビーバー、チンチラ、羊があり、水生ではオットセイ、アザラシなどがあります。
     毛は剛毛、粗毛(刺毛、上毛ともいわれる)、綿毛(下毛)の3種に区別されます。剛毛は動物の口ひげにみられ、まっすぐに伸び、数が少ない。粗毛は真っ直ぐで長く、光沢があり、各動物の毛皮の特徴をあらわすものです。綿毛は粗毛の下に密生している細毛であり、代表的なものはウールです。

  • アニリン仕上げ革
     染料のみを使用する仕上げで、革表面に透明感を持たせ、革らしさを象徴する銀面模様が顕著に見られます。素肌のきれいな高級革の仕上げに用いられ、グレージングやポリッシングによる仕上げが多い。

  • セミアニリン仕上げ革
     染料と顔料を併用して細かい傷やスレを隠す仕上げです。

  • 顔料仕上げ革
     顔料を多く用いるので傷やスレがよく隠れます。顔料の使用量が多いと透明感のない革になります。

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